今月の臨床 母体と胎児の栄養学
妊娠前の栄養管理
2.糖尿病女性の妊娠
山田 秀人
1
,
森實 真由美
1
,
園山 綾子
1
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座産科婦人科学分野
pp.640-643
発行日 2011年5月10日
Published Date 2011/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102667
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妊娠前からの血糖コントロール
糖代謝異常は周産期合併症のリスク要因であるが,妊娠前,妊娠中の積極的な管理によって周産期予後が改善する疾患の1つである.
母体高血糖によって惹起される合併症のうち先天異常に関しては,妊娠7週までの血糖コントロールが影響するとされる.したがって,妊娠前からの厳重な血糖管理ならびに計画的な妊娠が大切である.Kitzmillerらの報告1)では,先天奇形発生率が血糖コントロール良好群では2.2%(0.7~4.4%)であるのに対して,不良群では26.6%(16.1~100%)と高頻度であった.同様に,妊娠前から血糖管理を行った群の先天奇形率は2.5%(0~4.9%)であるのに対して,妊娠前管理をしなかった群では7.8%(1.4~12.0%)であった.妊娠前からの指導や加療によって妊娠初期に血糖コントロールを良好に保つことで,一般の先天奇形率と同程度かより低い頻度にまで減らすことができたと報告している1).
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