Medical Scope
感染症診療チーム
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.791
発行日 1989年9月25日
Published Date 1989/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207696
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アメリカをはじめとする諸外国の診療体制と日本のそれとでは,いくつかの異なった点があります。たとえば,オープン・システムといった具合に,アメリカでは日常行なわれている方式が,日本では行なわれていないというようなことです。こうした点のほかに,大病院のなかに非常に系統だった診療システムというか規律があるのもまた,アメリカなどでの大きな特徴です。そのようななかで,「感染症診療チーム」が最近になって非常に活躍しているということをお話ししましょう。
日本では,ある感染症の患者が入院してくると,その疾患の担当の診療科でそれぞれ診療にあたります。肺炎なら内科,産褥熱なら産婦人科といったようにです。そうすると,各科の医師といっても,すべて感染症の専門家ではありませんから,患者さんに最適な治療ができているかと考えたとき,ときどきは頭をひねるようなこともあると思います。感染症は病気のうちでも重大なもののひとつで,年々新しい感染症が発見され,エイズのような恐ろしい疾患も加わってくると,その専門知識がどうしても必要になります。感染症患者には,もっとも適切な抗生剤を,もっとも適した量で投与し,最適の期間内に治療を終わり,もっとも少ない副作用で治癒させなくてはなりません。すべての感染症の症例がこのように診療されることを願っているわけですが,そのためには,感染症の専門家の知識を借りなくてはなりません。そうしないと,必ず無駄ができてしまいます。
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