特集 出産の新潮流と助産婦
「お産研究会」のめざすもの
鈴木 琴子
1
1琉球大学大学院保健学研究科
pp.628-631
発行日 1989年8月25日
Published Date 1989/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207668
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はじめに
ここ日本最南端の沖縄県には,戦後米軍の占領下にあったため,助産婦教育が一時中断されたという歴史がある。昭和20年から昭和39年にかけての19年間,沖縄ではその間15名の助産婦を出したのみであった。しかし,そのような社会的条件にもかかわらず,助産婦が取り扱った出産の占める割合は本土に比べ近年まで多かった(昭和40年前後,助産院での分娩は,全国では13%であったのに対し,沖縄では全出生数の3分の1を占めていた)。そこには,先輩助産婦たちのめざましい活躍があった。
現在では,リーダーとなるべき40・50代の熟練した助産婦が本土に比べ非常に少ない上に,開業して分娩を取り扱っている助産婦は,県内に60代3人,30代1人という状況である。その中でよりよいお産を考えようと何人かの助産婦たちが集まり「お産研究会」がつくられてから4年目になる。月2回の定例会を開くほかに,「お産の教室」の開催,女たちのまつり「うないフェスティバル」への参加などを通し,地域での活動を展開している。幅広い視点から「お産」について考えようとするこの一つの試みを紹介したい。
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