研究・調査・報告
SMC方式乳房管理による母乳育児への取り組みの効果—10例の実践をとおして
畠山 富美子
1,2
,
佐藤 洋子
3
1秋田大学医学部附属看護学校15期生卒
2現・仙北組合総合病院
3元・秋田大学医学部医学部附属看護学校
pp.486-490
発行日 1989年6月25日
Published Date 1989/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207637
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はじめに
母乳育児が推奨されている今日,各種乳房マッサージ法も普及してきており,医療機関では,より効果的な乳房管理法を求めて努力するところが多くなってきた。特に,助産婦によって考案された桶谷式乳房治療手技は,母乳栄養確立に大きく貢献していることで脚光を浴びてきた。秋田大学医学部附属看護学校の過年度の卒業論文でも,桶谷式乳房治療手技による母乳栄養確立の成功例がいくつか報告されている。しかし,近年になって,母乳は本来,児を育てるために当たり前に存在しているという考えのもとに,根津八紘氏が,母親自身に母乳管理をさせるSMC(Self-Mamma-Control)方式母乳管理法を考案,実施したところ,産後1か月で90%の褥婦が完全母乳を達成できたという報告をしている。
今回,秋田大学医学部附属病院産科病棟においては,桶谷式にかえてこのSMC方式を取り入れることにした。褥婦の自主性を重んじるSMC方式を指導し,体得してもらうことで,乳汁分泌が促進され,母親自身が育児に対して自信をもつことにつながり,母乳栄養を確立することができるのではないかという仮説をたてて実践したところ,退院時までに60%,産後1か月までに80%の褥婦が完全母乳に成功したという結果が得られたので,ここに報告する。
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