インターホン
私が「ナプキン先生の素敵なマンスリー・ディを」を書いた訳
小野 清美
1
1千葉県立衛生短期大学
pp.398-399
発行日 1989年5月25日
Published Date 1989/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207618
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私は先日,「ナプキン先生の素敵なマンスリーディを」という本を上梓しました。この本を手にしたほとんどの方から珍しい本だといわれました。その意味は2つあるようで,1つ目の理由は生理用品を表舞台に出した本が今までになかったことと,2つ目は看護職が性教育と商品学をおり混ぜて書いたことによるもののようです。
そこで,助産婦であり,看護教員である私が,なぜ生理用品をめぐる文化と歴史に関心をもつようになったかを述べてみたいと思います。それはまず私が助産婦だったから自然にこうしたテーマに取り組むようになったといえるようです。そもそもは患者さんに「娘が初潮を迎える年齢になり,助産婦さんならよい生理用品を知っているだろうから教えてほしい」と聞かれ研究が始まったのですが,参考図書などは見つかりませんでした。それではと,何か知っている人がいないかと尋ね歩いた結果,生理用品メーカーの人,コマーシャル・フィルム(CF)を作る人,デザイナー,航空会社の人,老人,子ども,保母,トイレや製紙会社の人,主婦,学校の先生,障害者など,1枚のナプキンやタンポンを通していろいろな人たちと出会うことができました。そして,生理用品が語りかけている事柄は日本経済とのからみ,科学技術の進歩,民族による相違,女性の社会進出,女性の服装の流行などなど,実に多彩です。そして月経を医学上のこととせず,女性が自分のことを堂々と社会に向けて表現する一つの立派な方法として生理用品も役立つと考えるまでに至りました。
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