特別企画 プライマリ・ナーシングヘの取りくみ
北里大学病院産科病棟におけるプライマリ・ナーシングの導入
野村 紀子
1,2
1北里大学看護学部
2元・母性・小児系看護科
pp.187-197
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207574
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プライマリ・ナーシング取りくみの動機
北里大学病院産科病棟は,昭和46年の開設以来,多くの新卒助産婦によって支えられてきた。しかし,その新卒助産婦数も分娩件数との割合からいえば,あまり多くない状況で,いつも忙しさに追われていたともいえる。また,新卒助産婦の教育背景はいろいろであり,出身助産婦学校は全国各地域にまたがり,当院に就職した助産婦の卒業校は約35校を数える。しかし,それぞれの新卒助産婦は,学校の違い,出身地の違いはあっても,分娩経過の観察,分娩介助術,新生児の看護などの基本的能力はそなわっていて,一様に,即,実践可能であった。
しかし,このような状況のもと何年か過ごすうち,病棟責任者である私はある疑問をもつようになった。それは当院が大学病院であることから,もつようになった疑問である。大学病院には新卒の医師も病棟に配置されてくる。4月,5月のスタート時の能力をみると,分娩に関する知識・技術とも新卒の助産婦のほうが,能力があり,実践も可能である。ところが,2年,3年と経過するにつれて,その能力が逆転してしまうのである。
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