特別寄稿
正常新生児に対する非沐浴の取りくみ
赤松 洋
1
,
村上 睦子
1
1日本赤十字社医療センター新生児未熟児科
pp.827-832
発行日 1988年10月25日
Published Date 1988/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207484
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はじめに
出生直後のうぶ湯・沐浴は,従来の家庭分娩および今日の施設分娩の中で,習慣的に行なわれてきた。また正常新生児の皮膚のケアとして温水浴(または温水石鹸浴)を毎日あるいは隔日に行なったり,3日間は清拭のみでその後に温水浴,入院中は清拭のみで温水浴を行なわないなどの方法がとられ,同様に臍帯脱落(臍落)をうながすための臍処置として開放にしたり,乾燥剤,消毒薬あるいはガーゼで被うなど,さまざまな方法で行なわれているが,医学的根拠に基づいた方法として新生児を非沐浴で汚れた部位のみを清拭する"dry technique"が推奨され,わが国でもすでに新生児の沐浴をいっさい中止し,胎脂を残す方針をとる施設がみられている。
われわれは昭和62年12月から正常新生児のルーチンケアとしてdry technique法に取りくみ,従来の沐浴(温水石鹸浴)および臍に消毒薬(イソジン液)を塗布する方法に変え,非沐浴(沐浴は退院時のみ)で胎脂を残し,臍には消毒液を塗布せず開放にする方法を実施してきたが,その際,皮膚細菌相に及ぼす胎脂の影響,方針切換え前後の臍帯断端残遺部の細菌相の変化および臍落の状態などを検討したので,その結果について報告する。
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