特別企画 臨床実習指導の新しい展開Ⅱ--愛育病院におけるこころみ
助産計画立案評価に関する指導の実際
桐島 美千子
1
1愛育病院産科病棟
pp.643-651
発行日 1988年8月25日
Published Date 1988/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207440
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はじめに
助産婦学生の実習にかかわりながらいつも思うことがある。それは,学生は1人の産婦を受け持つと,刻々と変化していく産婦の対応に追われ,いつ分娩室に入室させればよいか,会陰保護は手順どおりにできるだろうかと,自分自身のことで精一杯になってしまうということである。もちろん母子の生命の安全は前提条件であるから,適切な時期に分娩室に入室させることも,会陰保護が手順どおりにできることも大切なことではある。しかし,それだけで満足するのではなく,母子の安全と安楽は経過中の援助のよしあしにかかっていることを理解し,産婦を1人の人間として尊重し,出産を新しい家族のスタートとしてとらえ,その時期にかかわる者として専門的に援助していかれることが大切である。
このことを学生に学ばせるためには,いきあたりばったりの看護ではなく,その産婦にとってどのようにすれば,安全,安楽で,かつ人間的な援助行為ができるかを,助産計画の展開でおさえることが必要であろう。実際の臨床の場では,何人もの学生を1人の指導者がみているのが現状であり困難なことではあるが,昨年かかわった学生の事例をとおして,指導場面をふりかえりながら助産計画について考えてみたい。
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