Medical Scope
妊娠中のルーチン検査(3)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.439
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207390
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妊娠末期というと妊娠35週頃からと考えてほしいのですが,この頃になったら,胎児が元気かどうか一度は胎児心拍数モニタリング,NSTで確かめてみてほしいものです。NSTでは,胎動に加えてのアクセレレイションがあるか,基準心拍数が正常か,胎児が眠っている時間(sleepcycle)が20分ぐらいか,などをみます。胎児が長時間眠っているようなら,音を発生する器械を使って胎児を覚醒させる特殊なNST(FAS-Test)をやってみる必要もあります。(この器械は本年1月よりアトム株式会社が輸入・発売しています)
分娩をひかえた妊娠10か月に入ったら,妊娠38週になっても児頭が骨盤入口に固定しないような妊婦や,CPD(児頭骨盤不適合)が疑われるような症例では,X線による骨盤計測も必要になるでしょう。同時に,すべての症例で,超音波断層法で大横径や大腿骨長を測り,胎児の発育を診断しておくことも必要です。大横径が8.5cm以上あれば,おおよそ胎児の体重は2,500グラム以上あると考えてよいからです。このとき,胎盤の位置を確認することも忘れてはなりません。これは大出血前に前置胎盤を診断するためにも必要なのですが,それよりも,分娩中の胎児仮死のときに産婦の体位をどう変えたらよいか前もって分かるので,このほうが利用価値があります。
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