Medical Scope
妊娠中のルーチン検査(2)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.353
発行日 1988年4月25日
Published Date 1988/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207370
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前号からの続きで,妊娠中期頃の妊婦のルーチン検査のことをお話しします。妊娠12週をすぎると胎盤が完成されるので,一般的には流産率は著しく減少してきます。しかし,子宮の頸管無力症では流産が突発的に起こるので,この時期に,頸管が軟かく開大してきているかどうか診察するのを忘れないようにします。大切なのは胎児の大きな奇形や異常を発見することで,最も目標となるのは無脳症の胎児です。そこで,妊娠14〜19週ぐらいの間に一度は超音波断層法で胎児の頭部をみて下さい。この時期では無脳症は十分に発見できます。また,希望者には,羊水分析による胎児の染色体検査が実施されます。最近では,この時期の羊水分析よりずっと早い妊娠8〜10週頃に,胎児成分である繁生絨毛の一部を吸引し,CVS(chorionicvilli sampling,絨毛生検)という方法で染色体分析を行なうこともあります。
妊娠後半期の8か月以後になると,羊水過多・多胎,子宮の腫瘍(筋腫など),IUGRなどの疑いがある症例では超音波断層法による診断が必要です。妊娠後半期では,来院するたびに尿検査が必要ですが,蛋白尿は30mg/dl以内なら問題なく,これ以上の陽性なら定量して1日の蛋白のロスを計算しましょう。
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