Medical Scope
妊娠中のルーチン検査(1)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.265
発行日 1988年3月25日
Published Date 1988/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207349
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妊婦の診察に超音波断層法や胎児心拍数モニタリングなどの新技術が導入されるようになり,妊娠中の検査は一段と多様化しています。そこで一般の妊婦の診察,いわゆる定期的な診察ではどんな検査がルーチンとして必要であり,妊娠中の検査をどのように考えたら良いのかということが,私たちの間で1つの話題となっています。したがって,この欄で妊娠中の定期的診察とルーチン検査のガイドラインを述べることは非常に意義深いものと考え,今月はこの話題をとり上げてみました。
妊娠のごく初期に初診でみえた方の場合,月経周期などの問診に始まり検尿が行なわれると思います。この初期の検尿では,尿中のHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の存在を調べる妊娠反応が必要です。最近では妊娠4週でほとんど100%陽性に出る感度の良いものがありますので,妊娠の確定診断のために一度は行なうのが良いでしょう。蛋白尿は時に30mg/dlまでは出現することがあります。妊娠後半期の腎性糖尿は正常ですが,ごく初期に陽性となる場合は糖尿病の検査を考えなくてはいけません。また,悪阻症状の強い症例では,尿中のケトン体をみて脱水症状の有無を調べたいものです。
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