特集 21世紀の助産婦像
今から,何を,どう変えるのか—21世紀の助産婦像を構築するために
野村 紀子
1
1北里大学看護学部母性看護学
pp.274-279
発行日 1988年4月25日
Published Date 1988/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207353
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
北里大学病院でも,この春,何人かの新卒助産婦を迎えることになる。助産婦としての基礎教育を終了し,少々の不安を持って臨床の場に臨む人も多いことと思う。臨床における助産婦の仕事の前には,大きな壁があるかも知れない。しかし,それを乗りこえられた時,自分が「助産婦」という仕事を選んだことに誇りを感じる日が必ずくることを先輩助産婦として確信している。
いま,看護職の中にあって独自の専門分野を持つ「助産婦職」が,いろいろな意味で見直されている時期である。そういう時期だからこそ,常に「専門職」にふさわしい「助産婦」の仕事を遂行してもらいたいと思う。しかし,自ら専門職と信じている助産婦職は,現実に,自他共に認められるような仕事をしているだろうか。私は,即座にはそれを肯定できない。「助産婦職」の教育制度が見直され,その専門性が問われるなかで,臨床にいる助産婦の1人ひとりが自分の問題として考えるべき時期なのである。教育の場や行政の場で,「助産婦職」が見直されるのではなく,臨床の場で,第一線で仕事をしている人たちこそが真剣に考える必要があると思う。臨床の場にいた助産婦として,「助産婦」に期待することを述べ,その将来像を私なりに考えてみたい。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.