連載 知っておきたい産科免疫学の話・9
不妊症と免疫のかかわり
竹内 正七
1
,
高桑 好一
1
1新潟大学医学部産婦人科
pp.1070-1073
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207284
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
このシリーズの前々回(10月号)において習慣性流産(不育症)と免疫とのかかわりについてお話しし,また前回(11月号)は自己免疫疾患と妊娠とのかかわりについてお話ししました。この2回の話を通して,免疫が妊孕現象に深くかかわっており,時にはマイナスの方向に作用することがあるということが理解いただけたと思います。胎児が母体にとって同種の移植片であり,母体が胎児にたいして免疫反応を生ずるということがその背景にあるわけです。免疫的な流産は受胎後の不適切な免疫反応が原因となって生じるものですが,受胎以前つまり卵細胞と精子が結合する以前に免疫反応が起こり妊孕性に影響を与えることがあります。すなわち,精子または卵細胞に対する母体の免疫応答が原因となって不妊症となる場合があります。今回はそのことについてお話しすることとします。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.