連載 助産婦が好きだから・9
「看護の落ち度」も忘れまい
岡部 恵子
1
1日本看護協会卒後教育部
pp.1054-1059
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207282
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医療の高度化にともなって医師の診療補助業務に時間をとられ,看護らしい看護ができないと看護者が嘆きます。医療の高度化がもたらした延命への疑問も看護者を悩ませています。なかなか難しい問題です。そんな医療の現場でくたびれきってしまっていても,そこに病んでいる患者さんがいるからと必死で働いていますと,時には看護することに夢も希望も見出せなくなってしまうのも,無理からぬことと私は思います。医学の進歩にともなって修得しなければならない医学知識の量も自ずと多くなっていますし,全神経の集中を必要とするような緻密かつ正確な技術の提供も要求されます。危険にさらされている命であればあるほど,そこで看護している時には少しの不注意も許されないのです。
臨床を離れてみて,「看護婦はなんと大変な仕事の責任をもっているのか!なんと心身ともにハードな仕事をしていることか!」とあらためて驚いています。生命の危機の中で生命の安全確保にむけて努力しつつ,しかも患者さんの気持ちを思いやることができるようになるのは,ずいぶんたくさんの看護の体験を積み,技術に自信ができてからではないでしょうか。
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