連載 母乳育児Q&A
Q 黄疸が出たら母乳は止めるべきなのでしょうか
根津 八紘
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.507
発行日 1986年6月25日
Published Date 1986/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206897
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A 黄疸の原因は,ヘモグロビンの代謝産物ビリルビンに起因するもので,肝機能の未熟な新生児には多かれ少なかれ必ず発来するといってよいでしょう。その新生児黄疸は,人工栄養児に比べ母乳栄養児に多く見られることはご存知のとおりです。
その原因として考えられることは,1)母乳中に含まれる遊離脂肪酸が肝臓でのビリルビン代謝(グルクロン酸抱合)を阻害する作用を持つ。2)母乳中のある物質(現在まだ不明)がビリルビンの腸からの再吸収を充進させる作用を持つ。3)母乳だけを与えていると初期の母乳分泌不足による飢餓状態のため,それがエネルギー用の脂肪分解を進め,それによって作られた遊離脂肪酸が1)で述べたようにビリルビンの代謝を阻害する。また,口からの摂取量が少ないため腸の蠕動運動が低下し,腸からの再吸収が亢進する等の理由が考えられています。
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