Medical Scope
肩甲難産(2)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.835
発行日 1986年9月25日
Published Date 1986/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206969
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肩甲難産は,胎児が大きくなればなるほど,発生率が増えてきます。この頭位分娩での肩甲難産例をなくすことが唯一の分娩麻痺発生防止対策であるといっても過言ではありません。今までは,分娩前に肩甲難産を予測することが難しかったのですが,今日では超音波断層法で胎児の大横径や腹囲・胸囲の長径を計測できるようになり,児頭大横径より腹囲が1.5cm以上大きかったり,胸囲が1.4cm以上大きかったりしたときには,胎児はほぼ4kgをこえていると考えてよいので,肩甲難産を回避するために帝切にするという考え方もでてきています。
また,分娩第2期が初産婦で2時間以上,経産婦で1時間以上かかるような症例では,胎児はかなり大きく,肩甲難産になる確率が36%以上あると考えられます。そこで,リスクによってはこのような頭位分娩を帝切にすることも必要となってきます。実際に肩甲難産になってしまうと,図1のように,胎児の前在肩甲は恥骨結合下に,後在肩甲は仙骨下部にぴったりはりついたように固定されてしまいます。そこで前在肩甲から娩出させようとすると,図2のように,胎児を上から押し上げ,胎児をひっぱるようになりますので,分娩麻痺が発生しやすくなります。
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