特別企画 主体性をはぐくむ妊産婦体操
運動療法・妊産婦体操の理論
石川 肇
1
1日本医科大学理学診療科
pp.752-757
発行日 1986年9月25日
Published Date 1986/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206952
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はじめに
まず初めに,人間にとって運動とはどのような意義があるのか考えてみたいと思います。
私たちの24時間の生活を見ると,休息しているか,ある姿勢をとっているか,ある動作をしているかのいずれかです。すべての人は常に健康であることを願っておりますが,私たちが心身ともに健全であるためには,つねに適度の刺激,適度の運動が必要となっています。アルント・シュルツの生物学的原理という有名な法則がありますが,これは「我々の心身が一番よく機能するためには,常に適度の刺激が必要で,刺激が強すぎても,弱すぎてもその機能は衰える」という原理です。したがって私たちは常に全身を万遍無く適度に使うということが重要なこととなります。文明の中の生活は,身体の特定の部位だけを酷使したり,あるいはある一定の姿勢だけを強制し,私たちから身体全体を使う機会を奪ってしまいました。また日常の精神的なストレスは心身の疲労の蓄積をきたします。そのため私たちが健康に暮らすためには,どうしても努力して全身を使うという工夫が必要となります。ここに人間—運動—健康という大きな筋道ができ,健康であるためにはいかにして身体全体を使い,ストレスを乗り越え,適度に休息し意義ある生活を送るかが重要なこととなります。
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