今月の話題
胎児の形態的および機能的な評価法—ことに超音波検査法を中心として
中原 博正
1
,
小柳 孝司
1
,
中野 仁雄
1
1九州大学医学部婦人科学産科学教室
pp.710-713
発行日 1986年8月25日
Published Date 1986/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206940
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はじめに
ひとつひとつの受精卵が細胞の分裂と器官の分化とを繰り返しながら子宮内で成長をつづけ,やがてヒトの個として胎外生活が可能になるまで成熟してゆく過程を解明することは,産科学,ことに胎児医学を志す者にとって恒久の課題である。この目的に対して,今日,さまざまの側面からアプローチが試みられていることは周知のとおりである。なかでも,この10年余の間に流布した電子スキャンはin vivoで,リアル・タイムにおける胎児の生理現象の観察を可能にした。その結果,成長にまつわる胎児の評価も,形態のみでなく機能的な面まで拡充され,たとえば,胎児の眼球運動などに代表されるように,諸種の現象が胎児行動を科学的に体系づける研究課題として注目を集めるようになってきている。本稿では,まず初めに本領域のこのような学問の流れを歴史的な観点から解説してみたい。
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