連載 おとめ山産話
女医エロフィーバとメルツァック氏
尾島 信夫
1
1聖母女子短期大学
pp.526
発行日 1986年6月25日
Published Date 1986/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206902
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一般に疼痛対策には麻酔が常識であるし,産痛にはシンプソン以来麻酔による無痛分娩が100年も続いてきた。これに対する心理学的無痛分娩の主力であるラマーズ法のルーツは,条件反射学説で有名なパブロフ博士一門の仕事のひとつとして始められた精神予防性無痛分娩PPMである。そのPPMの開発者の一人として尊敬されているのがエロフィーバ夫人である。
犬の肢に針金を巻いておいて,通電して痛みを与える度に餌をやるのだが,反復しているうちに条件反射が成立して,犬は痛みを感じなくなり,反射的に唾液を流すという実験はよく知られている。痛みは大脳から生じるものであり,産痛も条件反射的に解消し得ると証明されたのが1912年で,逆に条件反射によってブザーだけで痛みを感じさせることにも成功した。
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