連載 教育評価のはなし
標準偏差の意味—その3 偏差値とは
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.1088
発行日 1985年12月25日
Published Date 1985/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206785
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いままでの平均や標準偏差の話をもとにして,今回は,データの標準化の問題について考えてみましょう。特に,話の中心となるのは,今や諸悪の源(?)といわれている偏差値の説明です。
ここ数年の活発な教育論議のなかで,偏差値による輪切り,偏差値偏重など,偏差値が常に問題視され,教育荒廃の原因とみなされているようです。しかし,偏差値にとっては全く身に覚えのない話で,今ごろどこかでえん罪を主張していそうです。偏差値が問題視されるのは,偏差値そのものが誤りなのではなく,学力偏差値によって個人を序列化し,相対評価のみで個人の能力を決定してしまうという点です。偏差値を使う人に問題があるといえましょう。
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