連載 医療ソーシャルワーカーの相談窓口から
受容するということ
田戸 静
1
1葛飾赤十字産院医療社会事業部
pp.916
発行日 1985年10月25日
Published Date 1985/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206750
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受胎から出産に至る40週前後の妊娠期間中,妊婦によっては,全く予期しない身体的異常のために,ある時は家族間の,またある時は生活上のバランスを崩す羽目に追いこまれることがある。その異常の多くは流・早産傾向の「出血」によるもので,ある日突然出血することもあるが,大方は数日間下腹部の圧迫感が強まり,不快感とともに少しずつ出血したり,陣痛のような痛みとともに出血したり,あるいは激痛を伴って大出血するといった状況を呈する。当然,妊婦は緊急入院となり,絶対安静の母体管理のもとに流.早産の予防処置がとられる。
患者S子は現在妊娠22週,出血で緊急入院して10日間経過している。この間,2歳半のM子ちゃんは身内間を2日あるいは3日おきに転々とし,養育困難の状態が出来しゅつたいした。S子は,娘が可哀そうで,身内にも迷惑をかけられないからと,中絶したいと申し出てきた。それは夫や身内全員の意見であり,S子自身の意志でもあると,泣いて訴えた。
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