特集 妊娠と貧血
妊娠と貧血:その相互作用のメカニズム
寺尾 俊彦
1
1浜松医科大学産婦人科
pp.478-486
発行日 1985年6月25日
Published Date 1985/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206661
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はじめに
貧血(anemia)は妊娠時の疾患のなかで最も頻度の高いものである。妊婦の約30%はヘモグロビン(Hb)が11.0g/dl未満であり,約60%は12.0g/dl未満であると報告されている。
貧血とは循環赤血球数(RBC)とHb濃度の低下した状態である。酸素運搬体であるHbの低下は肺および末梢組織のガス交換効率の低下を招き,また,妊婦に貧血があると分娩に際して異常出血をきたしやすく,さらにまた,ひとたび出血すると容易にショックになる。
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