Medical Scope
分娩第1期のはじめから出現しているvariable decelerationに気をつけよう
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.271
発行日 1985年3月25日
Published Date 1985/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206616
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今月もvariable decelerationのお話しをします。臍帯の圧迫による臍帯血流の障害で発生するvariable decelerationはほとんどの正常分娩例でもみられますが,そのときは,①分娩第1期の後半から第2期で出現する,②60秒以内に心拍数は急激に回復する,というのが条件なことは皆さんもご存知のはずです。それが分娩第1期の始まりから毎回の子宮収縮に出現している症例をみつけたら,どう考え,対処したらよいのでしょうか。分娩第1期の始まり頃からvariable decelerationが出現していれば,すでに臍帯の圧迫による血流障害がおこっていることになります。考えられるのは,羊水量が非常に少ないIUGR(子宮内発育遅延児)のときとか,臍帯周囲に胎児部分などがあり,子宮収縮時にそれが原因で臍帯を圧迫しているとかですが,忘れてならないのは,臍帯の一部が下降してそうなっているということです。すなわち,臍帯脱出がおこりやすい状態にあるわけで,この所見は,臍帯脱出の予告をしているようなものなのです。では,その実例をみて下さい。
これは25歳1回経産の何の合併症もない健康な産婦の分娩時胎児心拍数モニタリング所見です。子宮口3.0cm開大で自然破水をしたので内測法でモニターした所見のはじまりが図1です。胎児心拍数図にはアクセレレーションもありますが,右端にvariable decelerationが出ています。
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