連載 助産婦のための臨床薬理・6
副腎皮質ホルモン剤—母子共に副腎皮質機能は抑制される[2]
柳沼 忞
1
1東京大学医学部付属病院分院産婦人科学
pp.790-794
発行日 1984年9月25日
Published Date 1984/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206521
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副腎皮質ホルモン剤の母体投与は胎児副腎機能を一時的に抑制する
前月号で述べたように,呼吸困難症候群(RDS, respiratory distress syndrome)は未熟児の新生児期における死亡の最大原因である。未熟児の出産が予想される時に,母体に副腎皮質ホルモン剤を投与することにより,その死亡率を低下させることができることがわかってきたのである。
前号で解説したように,胎児の副腎機能は,妊娠末期にはすでに下垂体のコントロール下に活動している。したがって,母体に投与した副腎皮質ホルモン剤が胎盤を通過して,なおその活性を保持しているならば,胎児の副腎皮質機能を抑制する可能性がある。
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