特集 周産期感染症2026
産科からみた周産期感染症
43.産褥期乳腺炎
佐道 俊幸
1
,
神崎 剛
1
,
狩野 雅人
1
Toshiyuki Sado
1
,
Go Kanzaki
1
,
Masato Kano
1
1奈良県総合医療センター産婦人科
キーワード:
乳腺炎
,
乳汁うっ滞
,
感染
,
産褥
Keyword:
乳腺炎
,
乳汁うっ滞
,
感染
,
産褥
pp.189-192
発行日 2025年12月25日
Published Date 2025/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002458
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はじめに
乳腺炎は「圧痛,熱感,腫脹のある楔形をした乳房の病変(限局性の病変)で,38.5℃以上の発熱,悪寒,インフルエンザ様の身体の痛みおよび全身症状を伴うもの」と臨床的には定義されている。乳腺炎は乳腺に起こった「炎症」ではあるが,必ずしも「細菌感染」を伴うわけではない。乳房の緊満や乳管の閉鎖やつまりがあれば,発赤,疼痛,熱感がすべて起こりうるが,その場合,必ずしも細菌感染が存在するわけではない。乳管閉塞,非感染性乳腺炎,感染性乳腺炎,膿瘍と一続きに変化していくようである1)。さらに感染性乳腺炎は「乳房組織の腺または間質の細菌感染による急性炎症である。乳頭からの感染が主であり,乳頭部の亀裂,裂傷,陥没乳頭,うつ乳などが感染の誘因となり,多くは分娩後1週から2か月以内にみられる。乳房の一部は発赤,腫脹し,自発痛や圧痛が著明で,所属リンパ節も腫脹することが多く,38~40℃の悪寒を伴った高熱を発し,膿瘍を形成することがある。」とされている2)。産褥期乳腺炎は母乳育児にまつわる乳房トラブルの主要因である。周産期に関与する医療者(産婦人科医,助産師,看護師,保健師)がしばしば遭遇するため,その対応を熟知しておく必要がある。本稿では産褥期乳腺炎の管理法について概説する。

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