グラフ
表情が奏でるあざやかなハーモニー—越谷市立病院の助産婦とナースたち
八木 保
,
本誌
pp.1-4
発行日 1984年1月25日
Published Date 1984/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206369
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木曜日の午後の病棟にはいつもの忙しさはなかった.誰もがちよつと解放された感じを漂わせていた.どんなに忙しくともキリキリすまいとは思うけれど,追いまくられないというのはやはり何といいことだろう.
仲間に連絡しておかなければならないこともどこかへ行ってしまうことがあるのだから.ナースコールが鳴る.応答し,ベッドサイドへ行く.新しく母親になった他の女性にも声をかける.陣痛促進剤を打っている産婦さんと痛みをわかちながら廊下を散歩する.別室で乳房マッサージを行なう.2人きりの部屋は静寂そのもの.休憩室に集まった同僚はとりとめのないことをしゃべりあう.時には,ふと心を遠くへ放つ.やがて準夜.引き継ぎが始まる.夜勤にはもうこののどかな一瞬さえない.病棟は夜の顔をし始めた.
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