特集 母性への援助の質を問う
不安症状の強い妊婦がダウン症児を出産した事例の看護
秋間 悦子
1
,
網野 泉
1
,
森 尚子
1
1越谷市立病院産婦人科病棟
pp.361-369
発行日 1983年5月25日
Published Date 1983/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206233
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はじめに
女性が妊娠し,出産するのは自然な生理現象であると思われている。その反面,不妊症をはじめ,妊娠にともなうさまざまな合併症や,出産時における母児双方の生命の危険性あるいは奇形児出産など治療・援助の必要なケースもある。われわれ産婦人科の医療・看護に従事する者は,これらをまず予知し,予防・治療・看護を行なうことが,第一に果たすべき役割である。本事例は,妊娠26週より強い不安感をもつようになり妊娠継続を拒否しはじめ,妊娠31週に入って帝王切開による早期娩出を希望して入院,その後の治療と看護により妊娠38週まで妊娠を継続,無事出産したが,児はダウン症であったケースである。このケースは妊娠,分娩,産褥の各期において,その主訴に特異な心理的変化を示し,そのケアにあたってはむずかしい対応を迫られ,今後の看護上も学ぶ点が多かった。そこで本事例に対する看護のプロセスを御報告し,読者の方々の忌憚のない御意見をいただきたいと思う。
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