特集 周産期看護の新しい動向
性と性教育
妊娠中と分娩後の性問題とカウンセリング
野末 源一
1
1日赤医療センター婦人科
pp.1114-1120
発行日 1982年12月30日
Published Date 1982/12/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206147
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1.タブーを打破した性の研究
性にはだんだんタブーがなくなってきたと申しますけれども,このタブーは,まだまだついているのであります。例えば,食事の問題,住居の問題──例えば鬼門とか言いますね,あるいは死人を葬る場所,こういうことについては非常にタブーがついてまいります。それは,過去においてはいろんな理由があったものだろうと思いますが,それが,性の科学的な研究ということについて多くの障害になっていたわけです。ですから,別の言い方をすると,現在まで性の研究というのは,1つの暗黒時代にあったということが言われると思います。
これを初めて破りましたのは,ご存じのように,アメリカにおいてはインディアナ大学のキンゼイ教授でありました。彼は最初,1940年から始まりまして,インディアナ大学の中に強姦とか,未婚の妊娠とか,そういうものが非常に多くあるということが,識者の頭痛の種になったわけです。そこで,それをどうかしたいということで,インディアナ大学の総長が,このキンゼイ博士に相談を持ちかけたのであります。そこでキンゼイ教授は,まだ全然,性の問題を始めておらなかったわけですが,産婦人科医,泌尿科医,それから社会学者,いろんな方をお集めになって,それに対して科学的な研究をお始めになったのであります。
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