研究・調査・報告
カンジダ菌の感染経路についての一考察
岩本 とみ子
1
,
後田 千春
1
,
本田 弥生
1
1長崎大学医学部附属助産婦学校
pp.756-760
発行日 1982年9月25日
Published Date 1982/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206087
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はじめに
カンジダ菌は,婦人におけるカンジダ腟炎をはじめ,新生児では,鵞口瘡,先天性新生児皮膚炎などの疾病をひきおこす原因となる。近年,ステロイド,抗生物質,抗癌剤等の使用に伴いカンジダ症は増加の一途をたどっているといわれている。
長崎大学医学部附属病院において,腟カンジダ症患者を調べたところ,昭和55年産婦人科外来患者総数2,168名中,腟カンジダ症患者は妊婦・非妊婦あわせて151名と約7%を占めており,日常,外来診療において本症に遭遇する機会も少なくない。カンジダ症をひきおこすのは,Candida albicans,Candida tropicalis,Torulopsis glabrataだが,これらは腟内常在菌叢の1菌種であり,高田道夫1)によれば非妊婦の腟からは約15%,妊婦の腟からは約30%検出されるといわれている。
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