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Ⅰ.緒言
最近われわれは,頬骨部から側頭部にかけて腫脹をきたした放線菌症を経験した。放線菌症は,比較的まれな疾患であり,頭頸部では下顎部,頸部に多いものである。これは起炎菌であるActinomyces israelliが,本来口腔内に常在しているためである。また本菌は嫌気性であるため外傷の既往なくして発症することも少ない。この点,われわれの経験した症例は,きわめて特異的なものと言えよう。
さらに本症例では,誘因となるようなことがらも既往で明確にみあたらず,発症機転あるいは感染経路については,まつたく不明であつた。この部位に発生した放線菌症の発生機転については,調べた限りでは記載をみないので,われわれは可能性としての感染経路を列挙し,一つずつ推論・検討を試みてみた。この結果,可能性の高い経路を指向できた。これもあわせて報告しご批判をあおぐ次第である。
A case of actinomycosis invasion of the zygomaticotemporal region, which is exceedingly rare in occurrace, is reported. The etiology of this case was difficult to trace and is un-known ; the patient had no history of trauma. Surgical treatment combined with a long term administration of penicillin were of a great value in this case.
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