増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド
2章 検査前プロセス
高ヘマトクリット(Ht)患者への対応
家子 正裕
1
1札幌保健医療大学保健医療学部看護学科
キーワード:
抗凝固剤
,
クエン酸ナトリウム比率
,
CLSIガイドライン
,
多血症
Keyword:
抗凝固剤
,
クエン酸ナトリウム比率
,
CLSIガイドライン
,
多血症
pp.929-931
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209082
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はじめに
出血症や血栓性疾患は時に致死的である.止血機能検査は,これら疾患の診断および治療効果判定に用いられる.そのため,正確な検査結果が求められるが,止血機能検査,特に凝固時間検査にはさまざまなピットフォールが存在する.採血方法,サンプルの保存条件,遠心分離処理方法などさまざまあるが,患者自身の状態も1つのピットフォールになる場合がある.凝固時間検査に影響する薬剤が投与されている場合や多血症患者のようにヘマトクリット(Ht)値が高い場合である.特に,高Ht患者の凝固時間検査には注意を要する.日本検査血液学会標準化委員会の「凝固検査検体取扱い関するコンセンサス」1)には,「患者のヘマトクリット値(Ht)が55%以上の場合はクエン酸ナトリウム溶液量を調整する」とある.
本稿では,高Ht患者における見かけ上の凝固時間検査異常の原因とその対策法について解説する.
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