Medical Scope
単純ヘルペス・ウイルスⅡ型の経産道感染
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.254
発行日 1977年4月25日
Published Date 1977/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205196
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周産期医学とウイルス感染の問題は,最近流行した風疹を中心として,たいへんに幅広いものがあります。そのなかでも,非常に高い新生児の死亡率を示すものとして,新生児の単純ヘルペス・ウイルス全身感染症があります。今月はこの話題を解説することにしました。
新生児の単純ヘルペス・ウイルス(HSVと略して書きます)全身感染症は,生後4〜5日に急に発熱し,出血斑が全身に出現し,出血傾向となり,あれよあれよといっているうちに死亡してしまうという急な経過を示します。この感染した単純ヘルペス・ウイルス(HSV)は,新生児の肝,副腎,脳,肺に多くみとめられるので,全身感染症であることが理解できます。また予後が非常に悪く,ある報告では,146例の新生児のHSV感染症中,重症になったのは98例で,しかも,このうち96例が死亡したということになっています。いかに,胎児・新生児のような未熟な生物に対して,ウイルスが猛威を発揮するかが示されているデーターでしょう。
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