特集 出産・育児と父親の役割
新しい母子関係確立の試み—Maternity Patients Make Decisionsを読んで
中村 ミエ子
1
1国立病院医療センター・産科病棟
pp.30-31
発行日 1976年1月25日
Published Date 1976/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204977
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カナダの聖パウロ病院の産科病棟では,産褥期を母児ともに異常なく経過し,退院後,母親と父親が児の世話を積極的に行なうためのプログラムを計画し,実行している。ここで注目すべき点は,入院中に,父親が児の世話の実際を見学し,看護婦のいろいろな指導の中から,父親の役割というものを考えさせていることである。
母児の身体的状態をチェックする際は,たとえば,新生児の体重・体温を測定するのは,児が新生児室にいる時間が多い深夜勤務者が行ない,褥婦の家族の活動にさしつかえないようにしている。この病院では,母児同室制をとっていないが,授乳時間やその他の日課のケアは規定されていず,母親が新生児室に来て看護婦の指導の下で世話することもあり,母親の希望で看護婦が新生児室で世話することもある。また褥室で父親のいる時にデモンストレーションすることもある。この病院のように母児同室制と母児異室制の長所をとり入れ,母親のニードに応じた看護がなされている点で,理想的な母子看護のあり方のようである。
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