COFFEE BREAK
Patients
屋形 稔
1
1東新潟病院
pp.1200
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901325
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"Patients must be patient (病者とは耐え忍ぶ者の謂である)".故東大医学部細川宏教授の遺稿集『病者・花』にこの言葉がある.「病者は辛抱づよく耐え忍んでいる 何に耐え 何を忍ぶというか その身を襲う病苦の 激しくかつ執拗な攻撃を じっと耐え忍ぶのだ……」と続くこの一節は,病者が理不尽な攻撃に耐え忍ばねばならない苦しい斗いが記されている.
医療従事者は病者にある程度の支援は送ることができても,本質的には無力な存在かもしれない.病者はときに身を守るべき一片の盾もなくひたすら時の経過を待つしかないことも多い."死よ驕るなかれ"というドラマもあったが,医師や技師も己れの仕事に驕ってはならない.病者が救われるとしても,その人自身の忍耐と斗いの結果が大部分であるとさえいえるのである.
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