連載 Medical Scope
臍部の位置の個人差
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.668
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204967
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産科での妊産褥婦検診では,子宮の大きさを表現する手段として,臍部の位置を1つの目標にする習慣がありました。「ありました」と過去形でここに書くのは,私たちの北里大学病院産科では,もう臍部の位置を目標とした計測は行なっていないからなのです。
臍部の位置を中心とした子宮底の長さの計測は,主として分娩後の子宮収縮の状態を表現するのに用いられているようです。たとえば,子宮底の高さは臍上何センチとか,臍下何センチとかいわれています。時にはセンチではなく何横指などという表現を使っているところもあるようですが,この表現はもう論外です。せめてセンチ(Cm)で表現して下さい。そこで,中心となる臍部の位置ですが,これは人によってずいぶんとその位置に個人差があることは諸君もよく気がついていることでしょう。"そんな個人差の大きい臍部を,大切な子宮の収縮状態を示す計測値の指標にするなんて,おかしいなあ"という疑問を持った方もおおぜいあることでしょう。でも,以前から行なわれているので,なんとなくその習慣に従っているというのが現状ではないでしょうか。
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