事例からみた産科医療事故・第8回
窒息
大村 清
1
1大村産婦人科
pp.662-663
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204965
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【まさかと思われる新生児窒息例】
例1:コット収容中の新生児に哺乳していた看護婦Lは,他の入院患者のことで婦長に呼ばれたため,哺乳ビンを逆さにして新生児の口にふくませたまま席を外した。約5分後新生児室に戻り,新生児の口から哺乳ビンを除いたところ,呼吸停止があり,脈はほとんど触れなかった。あわてて同室の看護婦に声をかけ,医師を呼び,蘇生に努力したが効果なく新生児は死亡した。
例2:約10名の新生児を収容していた新生児室勤務の看護婦Mが,授乳後おむつ交換を行なっていた。新生児Aから順に4名の交換を終わったが,5〜6名の新生児が泣きだし,Mはいささか気が立っていた。哺乳不足かと思い応援にNを呼び,ふたたび授乳を始めたが,ふと目の前の新生児をみると口から吐乳し,顔面は蒼白となっていた。すぐ抱き上げようとしたが,筋の緊張はなく,呼吸もない。人工蘇生を行なったが,結局死亡した。
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