特集 授乳指導を総括する
未熟児・新生児病棟業務と母乳
田辺 幸子
1
,
高梨 信子
1
,
上苙 正子
2
1兵庫県立こども病院未熟児新生児病棟
2兵庫県立こども病院濃厚看護病棟
pp.140-143
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204831
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
母乳栄養の重要性が再度考えられてきた今日,母親の母乳に対する意識も徐々に高まってきたように思うが,当院のもつ種々の条件から,入院患者の母乳栄養の確立は,なかなか難しいものがある。ベッドサイドで,私たちナースは,病児であるからこそ母乳が必要なのだという認識に立って,入院患者をとりまく環境の1つ1つを検討して,その困難をどのように取り除いていけるかを,業務の中で検討してみた。
当病棟が対象としている患者は,当院が産科病棟を持たないため院外から移送されてくる。入院は病・産院からの直入院がほとんどであり,児は出生直後から母子分離を余儀なくされている。また地域的な拡がりをみてみると,表日本から裏日本にまたがる兵庫県では,遠くは60kmにもおよぶ地点からも患者は移送されてくる。したがって,産褥期にある母親の面会は母親自身の健康の回復といった問題や,また距離的な問題から遅れがちとなり,早くても10日目ぐらいが初めての面会となる。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.