助産婦事典
妊産婦の旅行と乗り物について
礒部 俊次
1
1東芝中央病院産婦人科
pp.243-245
発行日 1974年4月25日
Published Date 1974/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204691
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1.はじめに
交通網の極度に発達した現代社会で生活を営むために,われわれは好むと好まざるとにかかわらず,ほとんど毎日種々の交通機関を利用しなければならない。妊産婦とて例外であり得ない今日,あるいは起こりうるであろう危険のみを考え,妊産婦の旅行に対し,ただ禁止的な指導を行なうことは,いたずらに不安と迷いを与えるのみである。
幸い近代医学の発達による免疫学的妊娠診断法の普及は,すでに妊娠第5週にして診断可能となり,しかもその定量により異常妊娠を推定でき,またドップラー法により妊娠第12週にして胎児心音を聴取し得,胎児の正常な発育をある程度認知できうることは,妊産婦の旅行の可否を論ずる上に,以前よりはいっそう正しい判断を下しうるようになった。
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