ケース・レポート
心疾患患者の分娩介助にあたって
小鷹 利子
1
1新潟大学医学部附属助産婦学校
pp.38-44
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204593
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1.はじめに
健康な婦人でも妊娠という負荷が加わると,すべての代謝に変動をみるのであるが,すでに母体に疾患をもっている場合は妊娠による影響が大であることは当然である。心疾患をもっているものは程度の差はあるが,すでに循環動態に変動があるのに,その上に妊娠・分娩が加わることは循環系に著しい変動がおこり,ときには心疾患を悪化させ,母体の生命を危険にさらす場合もある。また反対に心疾患合併者でも心機能に余裕があれば代謝機能不全におちいることなく無事に妊娠・分娩がすむ場合もあり,その管理はむずかしいとされている。近年,心臓外科の進歩とともに心疾患患者の妊娠・分娩のケースは増加の傾向にある。
今回,私は僧帽弁と大動脈弁の人工置換術後の患者が胸部外科立ち合いのもとに経腟分娩にて健児を出産し,順調な経過をとり,母児ともに元気に退院した事例を経験したのでここに報告する。
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