連載 助産婦への提言
使命感と生きがい—菩薩の行に似て
岩崎 熈毅
1
1大阪市立今宮市民病院
pp.60-61
発行日 1973年7月1日
Published Date 1973/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204556
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わが国では,従来ややもすれば,分娩及び新生児については,安易な考えが根強く残っており,このことはわが国の周産期死亡,重症心身障害児の発生が,外国とくらべて高率である原因にもつながっている。周産期を中心とした産科学,新生児学が非常に重要視されるようになったのも,こうした背景があるからである。
人の分娩前9か月余りの歴史は,その後の70年よりも多くの問題を抱えており,胎児にとって産道を通ることは,最も危険な旅行であるとさえ言われている。また周産期の死亡率はその後の40年の死亡率にも匹敵する。せっかく妊娠しても,無事出産にいたるまでに数多くの児が失われることは,個人にとっても,国家的にも甚だ効率の悪い胎児喪失と言わねばならない。
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