連載 Mediceal Scope
ヒト胎盤ラクトーゲン(その1)—H. P. L.
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.59
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204527
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ヒトの胎盤にある特殊な蛋白質のひとつ,「ヒト胎盤ラクトーゲン」human placental lactogenについて,今日はやさしく解説してみましょう。ヒト胎盤ラクトーゲンは,H. P. L. という略名で知られており皆さんのなかにも,内容は知らないでも,このHPLという略語だけはみておられることでしょう。最近では,胎盤の機能を研究しているグループではトピックとしてあつかわれているものです。昭和48年6月に札幌市で開催された第25回日本産科婦人科学会学術講演会でも特別講演にとりあげられ,神戸大学の望月先生,京都大学の富永先生より細かく発表されました。
さて,ヒト胎盤ラクトーゲン,HPLというのは,糖を含まない分子量22,000の蛋白質であるということです。そして,アスパラギン酸,グルタミン酸が多く,ロイシンは少ないというアミノ酸構造をしています。そして,HGHといわれるヒト成長ホルモンと共通抗原を有しており,作用も似ているといわれ,乳汁分泌を促進するプロラクチンprolactin様の作用もするのです。
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