調査報告
オマル使用の実態調査成績
大塚 昭二
1
,
大村 清子
2
,
加藤 翠
2
,
木村 陽子
2
,
中尾 新六
3
,
松波 昭夫
4
1賛育会病院
2日本女子大
3コンビKK
4松波小児科
pp.36-43
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204475
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I.緒 言
乳児は1歳くらいまで反射性排尿がなされしだいに膀胱膨満感排尿に移っていくので,この時期をとらえて生活習慣に適した排泄の方法を子どもにしつけていかねばならない。この排泄のしつけに関する調査研究は必ずしも数少ないとはいえないが,トイレットトレーニングに用いる便器についてまとめられたものは,おとなの便器についてかなり考証がなされている1)2)3)にもかかわらず,ほとんどみるべきものがないといっても過言ではなかろう。
それは1つには,わが国では古くは子どもは下半身をまとう衣類を着用していなかったこと,わが国の住居のきわめて開放的な様式などによって,乳幼児用便器の発達がきわめて遅れ,近年になってオカワと呼ばれたブリキ製の室内便器が使われだしたのが,そのはじまりとみられるくらいであること。もう1つには,このようにわが国の乳幼児用便器の歴史が浅いことと相まって,おとなのオマルに対する理解—大きくはおとなの子どもの立場に対する理解の不足が,子どもがオマルを使う気持ちを少しも省りみようとしなかったことによると考えられる。
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