連載 ドキュメンタリー・日本の助産婦・3
「母性喪失時代」に生きる—東京・土方乳児院・土方フヂヱさん
落合 英秋
pp.50-53
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204407
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専門家にして専門家にあらず
現在,助産婦を養成する助産婦学校は全国に51校あり,その学生定員数は1220名に対し,学生実数は1009名である。ざっとこの数字をみても,世はベビー・ブーム時代にあるとはいえ,いかに助産婦のなり手が少ないかがわかる。こうして--年ねん深刻化する助産婦不足は,助産婦に夜勤をはじめとする労働過重をもたらすだけではなく,ひいては妊婦や産児に対して不十分な看護・指導やミスをも引き起こしかねない。そうならないために,助産婦の社会的地位の確立や待遇条件についても根本的な取り組みが迫られている。
さる昭和47年6月9日,第28回日本助産婦学会が開催され,そこで第1群「妊娠」,第2群「分娩産褥」,第3群「新生児」,第4群「家族計画母子保健」,第5群「助産婦活動の5項目にわたって,活発かつ真剣な討論が行なわれたが,その討論会で表面化したことがらは,今日,日本の助産婦がかかえこんでいる問題のすべてであったといえよう。
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