連載 MEDICAL SCOPE
Uterine milk,子宮腔内の液体成分
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.68
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204337
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子宮内膜は月経周期とともに,増殖期,排卵期,分泌期と変化していくのを,皆さんはよくご存知でしょう。このような内膜で被われている子宮腔は,乾燥したものではなく,しめった液体で一面がぬれたようになっているのは子宮の内視鏡,ヒステロスコープなどで分っていたのですが,一体どんな液体があって,それが何の役にたっているのか,全く研究されていなかったのです。ところが最近,不妊女性の検査が一段と進歩してきたために,いろいろな観点からみて,子宮内膜にある液体も妊娠と何か関係あるのではないかと考えられるようになり,その検査も行なう必要があるといわれはじめました。
つまり,子宮腔の中にある液体は,子宮内膜からの分泌物や子宮頸管からの分泌物,あるいは卵管,腹腔内の液体も入って来て,みんなが入り交ったものとなっています。このような分泌物の混合体が子宮腔内の貯りゅう液で,これを「uterinemilk」子宮の乳汁(ミルク)というのです。如何にも妊娠との結びつきを想像させるような名前をつけたものですね。
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