特集 助産婦生活第1報
<1>この1年に出会った「現実」
ひよっこ病院のひよっこ助産婦として
中矢 公子
1
1北里大学病院産科病棟
pp.12-13
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204303
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時は,走馬燈のように過ぎゆくもので,無我夢中で1年間送ってきてしまった。といっても,私の愛北里大学病院は,パイオニア精神にのっとって,昨年7月に開院したばかりの,ひよっ子病院である。助産婦としての実践的経験は,5ヵ月たらずの,これまたひよっ子助産婦で,自分を露呈する気恥ずかしさでしかたがないのだが,私なりにふりかえってみて,思いつくまま書きとめることにする。
現在のところ,産科はどこの病院でも予約制をとっているためか,新しい病院は分娩数が少なく,新卒者としての分娩介助の腕は,なかなかみがきがかからず,開院当時,新卒者同志集まっては,嘆いてばかりいたものだが,最近は悟りを開いてしまって,あせってもしかたがないのだ,学ぶべきものは,ほかにもたくさんあるのだ--と。いや,本当に,何ごとも勉強になると思うことの一つに,癌Ⅲ期の患者(現段階では,産科と婦人科の混合病棟)であるが,疑惑的な,せまるような眼で,病気について,「どうしてでしょうか?」と訴えてくる。
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