海外の産科医療事情その3
ソ連の産科医療
唯 正一
1
1唯産婦人科
pp.63
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204258
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鉄のカーテンの彼方,ソ連の産科医療についての情報は,今日なおきわめて少ないといえます。これからご紹介するソ連の産科医療の状況は,主としてソ連と米国の間で最近行なわれた医療関係者プログラムによって,モスクワに約1か月滞在し,産科医療の重要な基準である周産期死亡の実情を研究した米国チャールストン病院H.C.Heins二世の手記によったものです。医療の効率的運用,その組織化は地域医療計画regionalisationとして世界各国で検討されています。ソ連は社会医療の国,したがってもっとも組織化された産科医療が実施されているであろうと想像されます。その意味でソ連の産科医療の実際を,単なる見学者以上に身近に眺めることのできたこの著者の報告は,たいへん興味深いものといえます。
ソ連の医師は6歳から始まる11年間の基礎教育終了後,医科大学に入学します。入学率は25%,医学教育は2年前から7年間となっています。卒業後は任命されて赴任した,主として農村・山岳地帯でtherapist治療士として3年間働きます。3年経つと,3か月の中央での研修refresherコースに参加します。この期間に産科専門医を志望するか否かを決定し,その志望者はordinerインターンとしてさらに2年,産院・総合外来診療所で研修を積むか,またはaspirantアスピラントとして3年間,産科中央病院で勉強します。後者はさらに医学博士へ進む研究に通じます。
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