研究
周産期死亡の原因と最近の変動について
神谷 環
1
1長崎県立長崎保健看護学校看護学科
pp.35-38
発行日 1971年10月1日
Published Date 1971/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204229
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1.はじめに
周産期死亡は,胎児死亡と早期新生児死亡の両方を一括したものであるが,このような考え方は,一般に後期死産と早期新生児死亡の誘因が,同一によることが多いためである。したがって,新生児早期の死因は,後天的因子によるものより,むしろ,妊娠中,あるいは分娩時の影響によると考えられる場合が多いので,その予防対策も妊産婦の保健管理に重点をおくべきである。
ところで,わが国における周産期死亡率は世界の先進国に比較してあまりにも高率である。昭和40年のわが国の妊娠後期の死産総数は3,955であり,早期新生児死亡数は14,949である。したがって周産期死亡数は54,904であり,その率は出生1000に対して30.1である。この原因は母体外で生活可能な新生児の死亡であり,その大多数は直接妊娠中,および,分娩中のなんらかの原因から発生したものと考えられる場合が多い。このような状態は,妊娠・分娩に関する適切な管理指導が,わが国では完全でないということで説明できるかもしれないが,しばしば生存不可能な児を出産する婦人がなぜ多いのか,産科学における重要な問題のひとつでもある。これら,各因子について,すでに観察された資料が報告されているのでまとめてみた。
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