研究
産褥期看護の細菌学的検討—腟腔と悪露について
吉田 らし
1
1大阪大学医療技術短期大学部看護科
pp.42-46
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204186
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I.はじめに
かつて妊産婦死亡の第1位を占めていた産褥熱は,抗生物質の発見と適切な分娩管理により急激な低下の途をたどり,今や典型的な産褥熱はほとんどみられなく,問題とされなくなりつつある。産褥初期における軽度の発熱(37〜38℃)は,臨床ではしばしば観察することもあり,これらは抗生物質の投与により,あまり問題視されていないのが現状である。
しかし分娩による急激な体力の消耗,疲労,それに加えて多かれ少なかれ局所に損傷を伴っている褥婦であること,また最近の耐性ブドウ球菌,緑膿菌などによる院内感染の現状を考えてみる時,ただ抗生物質にのみよって安心しきっていていいものだろうか。
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