あんてな
手ばなしで喜べない乳幼児の体位の向上—昭和45年乳児身体発育調査結果
近 寅彦
1
1厚生省児童家庭局母子衛生課
pp.61
発行日 1971年7月1日
Published Date 1971/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204177
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戦後こどもの体位が著るしく向上し,10年前の「乳幼児身体発育値」では実情に合わず保健指導上にも適正な基準がほしいという声が数年前から保健所や病院などの保健婦さん助産婦さんからも高まり,乳幼児身体発育値の改訂がつよく関係方面から要望されていました。厚生省では昭和25年から10年ごとに全国的サンプリング調査を行なって,わが国の乳幼児の発育状態が時代の推移とともにどのように変ってきたかを知り,今後の乳幼児保健のあり方を考えたり,実際に保健所や病院の現場での保健指導の資料として活用してきましたが,今回はちょうど10年目にあたる昭和45年9月下旬に全国の1/260の地区の乳幼児を保健所の協力のもとで調査しました。
調査結果を表に示しましたが,予想通り乳幼児の身体発育の向上は全く素晴しいもので,"のび率"は北欧の先進諸国なみにまでなっています。10年前と比較してみますと,出生時では体重が0.1kg,身長は0.2cmのび,乳児期を通してみると平均して体重では0.4〜0.6kg,身長は0.7〜2.1cmの"のび"を示しており,満1歳児の体重はこの20年間で約1kgものびています。"のび"は市部,郡部などの地域差はほとんどなく,これまで乳幼児の体位は都市部が農村部よりも優位であった定説が解消され,全国どこでも同じになりました。
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