婦人ジャーナル
母と子の断絶
山主 敏子
pp.57
発行日 1971年3月1日
Published Date 1971/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204091
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子どもを夫のもとにおき去りにして,家出をする妻が増加しているという。どんなにいやな夫でも,子どもにひかれて,つい一生連れ添ってしまうのが,過去の女性だったが,母性愛も変わってきたものである。自我のめざめというか,自分の一生を,子どもの犠牲にしてはならないという気持が強くなった。妻が家出をしたあと,子どもを押しつけられた夫は,どうすることもできないから施設へたのんであずかってもらう。養護施設にはそういう事情の子どもたちがふえている。主婦の友の3月号に,このようにして捨てられた子どもたちが書いた作文がのっている。"お父さんもお母さんも大きらいだ!"が,それらの作文である。"ぼくのおかあさんとおとうさんがめんかいにきたときけんかした。おかあさん,おとうさんが大きらいだ。そんなおやなんか,ぼくのおやなんかとちがう。ぼくのおやはもっといいおとうさんやおかあさんやと思った"
このたどたどしい作文は,小学6年の男の子のものだ。母は生活苦にたえかねて家出,その後父は生活力がないので子どもをあずけにきてそれきり連絡もない。昨年になって母が引きとるといったが,子どものほうで拒否した。作文にもあらわれているように,両親への不信は強い。
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